薮内工務店
物件例

Y邸-6 猫と住まうおうち

Y邸-6

建物名称猫と住まうおうち
業務内容企画・基本・実施設計・監理
施工面積1F 77.29㎡(23.38坪)
2F 42.18㎡(12.76坪)
合計 119.47㎡(36.14坪)

猫と住まうおうち~家族の記憶と共に~

きっかけは古くなったおうちの断熱向上と使い勝手の改善のプチリフォームでした。
さぁ工事の段取り!ってなったのですが、色々な意見が出て来て、急遽建替えに軌道修正。

それならどうする?ってことになり、仕切り直しに。

断熱、使い勝手はもちろん、将来的な家族の状態、そしてもっとも大切にしたものは、
「大切な家族のちーちゃん(猫)にも快適なおうち」というコンセプトに決定。
それと、「家族の記憶」を何か残したい・・・。

猫とのおうちというと、よく思い出されるのは、「キャットウォーク」や「ペットドア」といった、動的要素の置を思い出されますが、今回は、ちーちゃん年齢、感情といった物を考えた装置をおうちに組み込みました。

・独りでのお留守番の時も外の季節や人や車の往来を感じられるように「猫窓」。

・独りでお留守番の時も退屈しないように家中を回遊出来る様に「ペットドア」。

・独りでお留守番の時、家族が帰ってきて、うれしくて飛びつきそうになって、玄関戸が開いていて、危うく外に出ちゃって、車などに轢かれないように玄関とホール間や二階プライベートゾーンに行って、ちょっといたずらしようにも出来ないように、階段の上がり切った所に通れない程度の間隔の格子で、家族の匂いなどを感じられるようにガラスが入っていない、「格子簀戸」。

がっつり「猫仕様」ではないのですが、ちーちゃんへの気持ち(寂しくないかなぁ)に寄り添った装置を組み込んでいます。

家族が帰ってくるのが見える玄関横の低い位置ある「お出迎え窓」

人や車の往来を感じられ、リビングから見える道路に面した低い位置にある「観察窓」

階段の途中にあって、今日のお空の色を感じたり、鳥さんたちとコミュニケーションが取れる「コミュ窓」

そして、床は滑りにくく、万が一のおしっこにも負けないフロアー。ちーちゃんも一緒で、歳を取ると、さほど、動き回れるわけでもなく、キャットウォークなどのアスリート的な要素までは不必要でした。要は、私たち人と一緒で、感情の為の装置が必要なのかもしれません。

「家族の記憶」はどうしたの?と言う言葉が聞こえてきそうです。(笑)
ベタですが家の中で一番高価な部材。そう木材です。云わずと知れた「床柱」を解体時に何とか上手く取り除いて、何処かに使って欲しい!!

「上手く取り除いて使いました!!」そして、なぜか縁側の昭和チックな藤網籠のような照明。
縁側ってなんとなく思い出ありますよね(笑) 私にもあります。夏休みに、いとこがいっぱいおばあちゃんの家に集まって、夜、色々な話をしたり、スイカ食べたり・・・。
とても楽しい記憶です。
当初予定していたLDKの設置場所には、違和感を感じて(個人的に・・・)、玄関の下駄箱のカウンターの一部に・・・。照明器具は二階のプライベートゾーンの廊下だったのですが、やはり、みんなが目に付く、1階のパブリックゾーンの廊下に・・・。

第三者には違和感しかありませんが、お施主様には一体感しかないそうです。
この感覚の違いはやはり「家族の記憶」が有るか無いかに尽きると思います。

視覚への依存が加速する現代社会、よく「五感を刺激する家」とか耳にしますが、刺激するのではなく、五感を結び付けて、「空間における五感」を取り戻さなければいけないような気がします。昨今ノイズだらけの日常の中で、動きがなく静寂の空間の中では忘れられていた五感が研ぎ澄まされるのではないでしょうか・・・。

座禅なんかもそうなんじゃないかなぁ。

視覚重視の現代に触覚、聴覚、味覚、嗅覚といった物を感じられるようになおうちになればと思っております。

精神論ばかり言っても仕方ないのですが、当然ながら、
断熱等級5、
一次消費エネルギー等級6、
耐震等級3、と言った仕様にはなっています。

それを会社の特徴というのは、それしかないのかと・・・。

視覚的デザインばかりいうのも・・・。

現代の住宅に求められる仕様も、五感を再構築するにはとても良い仕様だと思っております。イニシャルコストは多少かかりますが・・・。

今後、物価上昇、高齢化、精神的攪乱など、今までの日常が変わっていく世の中・・・。自分の身は自分で守る時代。日々の消費を抑え込みながらも、人生を有意義な物と捉えられる装置の一つとして、「衣」・「食」・「住」の一つに携われるのはとても光栄な事だと感じています。より心地の良い気取り過ぎないご提案を出来るように日々精進してまいる所存です。
十人十色。(ベタだなぁ)

人だけではなく、動物との関わり合いと自然の共存も時と場合によって、大切だと考えてます。

デザインセラピー
アニマルセラピー

未来の子供たちのために・・・。

ベースはしっかりとしているに越したことはありません。

今回の工事のキーワード
「断熱」、「遮熱」、「動線」、「視線」、「利便性」、「明るい」、「家族の記憶」、「柔らかい」
そして「ちーちゃん(猫)」でした。